研究トピック
1)「意識の宿る機械」の研究開発
「意識の宿る機械」としてスパイキング・ニューラルネットワークを構築し、動作検証を行う(意識の定義についてはhttps://gendai.media/articles/-/106294参照)。下記項目を基本方針とするが、これには縛られない。
侵襲コネクトームから得られたシナプス結合の離散データを重みの初期値とする
作業仮説としてネットワークアーキテクチャを決定し(生成モデル等)、感覚運動データをもちいて学習することで、シナプス結合の定量値を決定する
発現される客観的性能(視覚認識率等)とその振る舞い(哺乳類の脳にみられる「ノイジー」な動作をしているか等)について客観的に動作検証をおこなう。
2) 生体脳半球・機械脳半球接続による人工意識の主観テスト
機械に意識が宿ったかを自らの意識をもって検証する(「脳の意識 機械の意識」 中央公論新社 参照)。具体的には、両生体脳半球の視覚的意識の「マスター・マスター」制約を逆手にとり、片側生体脳半球を機械脳半球に置き換える。仮に、残った生体脳半球に宿る意識が、機械側の視野も含めて体験することができたなら、機械の側にもマスターとして意識が宿ったと結論せざるを得ない。
最終的には自身の生体脳半球に機械を接続する必要があるが、倫理的・技術的な課題により、この十数年のうちには叶わない。間接的な方法にはなるが、まずは、実験動物をもちいて研究開発をすすめる。
3) 神経束断面計測・刺激型ブレイン・マシン・インターフェースの研究開発
上記テストをその最終形として遂行するためには、生体脳半球どうしがつながっていたように機械脳半球と生体脳半球を接続する必要がある。
その実現のために、脳梁など、左右脳半球を連絡する神経線維束を切断し、その切断面に対して計測・刺激をおこなうブレイン・マシン・インターフェースの研究開発を行う(”From Biological to Artificial Consciousness” Springerの第六章参照)。
実現すれば、左右の脳半球を連絡する神経繊維のすべてに対しての情報の読み書きが可能となり、AIによる脳機能支援、また、AIによる脳機能一部代替への応用も期待される。